四日間の奇跡/朝倉卓弥(ISBN:4796638431)

障害をもつ女の子(千織)と、その女の子を助けたためにピアニストを断念せざるをえなくなった男のお話。新人ということだけど、描写は細かいし、話にどんどん引き込ませる力があります。特に前半は事件はまったくおきずに、淡々とあらましを述べているだけなんだけど、どんどん読んでいける文章であるのはすごい。
残念なのは、話の流れ上しょうがないといえばしょうがないけど、女の子が「千織である」必然性が薄くなってしまってる気がするところ。事件がおきてからはもう一人の別の登場人物との話がメインになってしまって分断されてしまっている感じがする。最後では、一応つながるわけだけど、もうすこし絡めて展開してほしかった。
とはいえ、悲しくもあるけど読後感のいい、よいお話でした。次回作も期待…。
ちなみに、解説によると、「明らかな弱点」として先行作品と物語の核になる仕掛けがほとんど同一だったことと書いてあるけど、ミステリーファンではない私にはわかりませんでした。というか分かったとしても別にそれはいいと思うけど。